兄×弟〜 Extra chapter 〜

襲撃




「もしもーし。伊弦?」

「伶。どーした?」

「攫われた。助けて?」


伶が一大事だ。
仕事中だったのだが早退届を出し、急いで彼の元へ向かう。
彼の今居る場所は人通りの多い商店街が立ち並ぶ所。
そんなところで攫われるなんて・・・よっぽど伶が可愛かったのか!?



「なぁ、呼んでくれたんや?」
携帯を折り畳んで少し高い位置にある顔を見上げる。
「うん。呼んだよ?多分25分ぐらいで来ると思うけど。」
攫われた、なんていうのは嘘で、そう電話しろと言ったのがコイツ
従兄弟の畦迩(ケイジ)だった。
明るく染めた髪にそれなりに整った顔立ちをしている19、20ぐらいの青年だ。
大阪に生まれの大阪育ちな彼は独特のアクセントなどを用いる方言をすらすらと使う。

「伶ーっ!!」
伊弦の会社からだと車で15分はかかるのに10分ぐらいしか経ってないんだけど。
随分早いな。