雅臣と輝紀

愛情

※高校生※


雅:輝紀さ、最近元気ないよな?

輝:……そうか?

雅:絶対そうだって! 何かあった? 俺に言ってみ?

輝:何もない。

雅:……そんな暗い顔して、何もないわけないだろ?

輝:何──ちょっ!? いきなり腕を引っ張るな、危ないだろ!

雅:俺って、頼りない?

輝:は?

雅:俺なんかに、話したくはない?

輝:雅臣?

雅:………………。(無言で力強く輝紀を抱きしめる)

輝:おい、どうしたんだよ?

雅:俺が訊いてんの。

輝:今の状況は、どう見たってお前の方がおかしいだろう?(雅臣から少し離れ、雅臣の顔を覗き込む)

雅:輝紀……。

輝:[マジでどうしたって言うんだよ?]

雅:……してる。(ボソリ)

輝:え?

雅:愛してる。

輝:な、何を!?(いつものふざけた調子ではなく、真剣な顔で言ってくる雅臣に、輝紀はあからさまに動揺をする)

雅:愛してるんだよ……。

輝:お、おい?[いつもと様子が違いすぎないか!?]

雅:輝紀は……?

輝:ん…ちょっ!(首筋に当たった雅臣の息に反応を示す輝紀)

雅:言ってよ?(輝紀が感じたのを見た雅臣は、わざとらしく耳元で囁くように言う)

輝:やめっ!

雅:やめるって何を? 俺、まだ何にもしてないよ?

輝:あっ。(耳朶を甘噛みされた)

雅:感じちゃった?(そう言いながら、次は耳の根元にキスをする)

輝:ばっか……!

雅:っつ!!(腹に輝紀の肘鉄を食らった)

輝:調子に乗ってんじゃねーよ!

雅:は、はは……。

輝:何笑っているんだ?(腹を抱えながら笑いを洩らす雅臣を思い切り睨みつける)

雅:やっと、いつもの輝紀に戻ったなって思ってさ。

輝:……は?

雅:輝紀に暗い表情なんて似合わないから。乱暴なくらいが丁度いいよ。……痛いけど。

輝:…………バカが。

雅:しょうがないよ、輝紀を思ってるからこそなんだからさ。でも……。(背筋を伸ばし、輝紀の手を取り輝紀を見る)ちょっと悲しかったかな。

輝:悲しい?

雅:うん。今度からは、何かあったら全部俺に言ってよな? ちゃんとぜーんぶ受け止めてあげるから。(ニッコリ)

輝:…………バカ。


 時々見せる雅臣の柔らかい微笑みに、輝紀はほんのり頬を赤くしながら小さく悪態をつく。

 それを聞いた雅臣は、「俺はバカですよ」と言いながらそっと輝紀を抱きしめた。

 雅臣の温もりを感じながら、輝紀はそっと微笑んだのであった。



【END】