兄×弟〜 Extra chapter 〜

予感




鮭は次の日の夜に帰った。
「鮭め・・・今度こそ石狩鍋へ・・・っ!」
忌々しげに呟いていると、伶がくすくすと笑う。

「畦迩に会ったの久しぶりだったね。身長伸びてた。」
20近いくせにまだ伸びるのか、と彼は呟く。
「羨ましい?」耳を食みながら囁く。
「少し、ね。」
「俺は、そのままが一番可愛いと思う。」
彼が笑う。


「焦らさなぃ・・っで・・・」
人は夜が長いというが、伶と居ると短くて、一日中夜に延長してもらいたいぐらいだ。



「もしもし、伊弦!?」
珍しい、彼が焦っている。
「どした?何かあったのか?」
荒く息が弾んでいる。走っているのか・・・?
「油断してて、今追いかけられてて・・・!」
軽いパニックに陥っている。
「大丈夫だ。今何処にいるんだ?」
短く場所を告げると同時に数人の男の声が聞こえ、彼が悲鳴を上げる。
電話は切れた。
彼が告げた場所は人通りの少ない、所謂裏道を呼ばれている場所。
冗談であって欲しい。そう願いつつ、告げられた場所へ急ぐ。