雅臣と輝紀

不安

※高校生※


輝:はぁ〜。

雅:どうしたー輝紀。溜まってるのかー?

輝:……あえて何がとは訊かないが、お前の考えていることとは全く違うと思う。

雅:そこはあえて訊くところでしょ? ……ま、いいや。違うんなら、じゃあ何さ?

輝:…………。

雅:なになにー? 俺のことじっと見つめちゃって? そんなに見つめられたら、色々してあげたくなっちゃうじゃないか。

輝:はぁ……、なんでこいつはこんなに脳天気なんだろう。(ボソッ)

雅:ちょっと、聞こえてるよ。俺のどーこが脳天気なのさ?

輝:お前そのもの総合的に見て全て。

雅:なんだよそれー。てかいきなり何さ? 何か変なものでも食べた?

輝:別に……。

雅:じゃあ、何か悪いことしたとか?

輝:別に……。

雅:……じゃあ、俺が何かしたとか?

輝:別に……。

雅:……。『別に』ばっか言ってんなよ!

輝:急にキレるんじゃない!

雅:輝くんが悪いんじゃん!

輝:輝くん言うな!

雅:なら、一体どうしたのか言ってよ!

輝:……分かったよ。……俺、不安なんだよな。

雅:何が?

輝:これからのことが……。これから俺はどうなっていくんだとか、俺はどうしたらいいんだとか……。

雅:これからどうなるかが不安だって? これからのことなんて、もう決まってるじゃん。

輝:……?

雅:輝紀はこれからも俺とずーっと一緒にいて、俺と一緒に人生を歩んでいくんだ。

輝:……俺が悩んでんのはそんなことじゃない。

雅:そんなこととはひどいなあ。これも、重要な問題の一つなのにさ。

輝:……はぁ。今はお前のその脳天気さが凄く羨ましいよ。

雅:それって、誉めてんの?

輝:一応。

雅:嬉しいなー、輝紀に誉めてもらえるなんてさ。

輝:…………。一番の不安は、ずっとこいつといて変わっていく自分かもな……。(ポツリ)



【END】