雅臣と輝紀

※高校生※


輝:あ。

雅:どうした、輝くん──っぶ!?(後頭部を輝紀に殴られた)

輝:雪が降ってきた。(知らん顔)

雅:……ホントだね。ここんとこ随分と寒かったもんね。(頭をさすっている)

輝:でも、これじゃ積もんないな。

雅:だねー。もし積もったら、雪遊びしようねー?

輝:断る。

雅:あはは。言われると思った。でも、雪が積もった中でデートするっていうのもいいよね? そう思わないか?

輝:そういえば……。

雅:え? 無視?

輝:昔近所に、『雪』って奴がいたっけなー。

雅:……やっぱ無視? ま、いーよ。もう慣れたしね。(そう言いながらもどこか寂しそうな雅臣)

輝:あの時は楽しかったよなー。あいつ、今何してるかな?(雅臣をすっかり無視して思い出に浸る輝紀)

雅:……なあ、輝紀。その、『雪』ってどんな奴?

輝:ん? 雪は、小学校卒業するまで一番仲の良かった友達。肌なんて白くて、『雪』って名前がピッタリな奴だったな。

雅:ふーん……。

輝:でも、中学上がる時に俺の親の都合で俺がこっち引っ越して来てから、逢ってないんだ。あー。逢いたくなってきたかも。きっと、可愛くなっているんだろうな。あ。あいつのことだから、格好よく、か?

雅:(雅臣の右眉がピクッとつり上がる)輝紀、雪って女? 男?

輝:女。

雅:そいつのこと、どう思ってんの?(言いながら輝紀に近寄る)

輝:どうって? ……つか、近い。

雅:どう思ってたの?

輝:だから言ったろ? 『友達』だって。

雅:本当にそれだけ?

輝:それだけだよ。……お前さ──っ!(雅臣に突然キスをされた)

雅:……輝紀。俺の前で、あんまり他の奴の話をしないで欲しいな。俺、意外と嫉妬深いらしいからさ……。

輝:ちょっ! やめっ!

雅:しないでくれる?

輝:……俺は、信用されてないのか?(上目遣いっぽく雅臣を見上げる)

雅:え?[いつもの輝紀と違う?]

輝:俺が他の奴の話をしていたって、俺がす、好きなのはお前だけだってのに……。(そう言いながら目線を少し下に向ける)[…くっ。思っていたより恥ずかしい……]

雅:て、輝紀!?[ヤバい。超可愛い……]俺も、輝紀だけが好きだよ? ごめん、疑うようなこと言って!

輝:……許してくれるか?(微妙に上目遣い)

雅:もちろん!

輝:そうか、よかった。(涙を拭うような振りをする)

雅:輝紀……。

輝:雅臣、許してくれたんなら放してくれ。そして、俺がいいって言うまで近づかないでくれるか?

雅:わ、わかった。(慌てて輝紀を放し、輝紀から距離を取る)

輝:どうもな。[恥ずかしかったけれど、意外とこの手は使えるな](内心ほくそ笑みながら、雅臣に気づかれないように舌を出した)

 雅臣に言うことを聞かせるための経験値を一つ上げた輝紀だった。



【END】