雅臣と輝紀

happy birthday Masaomi

※大学生※


「輝紀、今日は何の日か覚えてる?」
「ない」
「……い、いやさ、ちょっとは考えてくれたっていーんじゃない?」
「これから忙しいんだ。後にしてくれ」
 縋ってくるような目をする雅臣を置いて、輝紀は雅臣の前からいなくなった。
「……ヒドくない?」
 雅臣はどこかへ行く輝紀の背中を見つめながら、悲しそうな顔をして呟いた。


***


「ただいま」
「おかえりー!」
「わっ!? いきなり何だよ!?」
 輝紀が出かけてから約一時間。ようやく輝紀は外から帰ってきた。その間雅臣は、一人拗ねながら留守番をしていたのだ。なので、嬉しさのあまり雅臣は輝紀に抱きついたのだった。
「どこ行ってたんだよ! こんな日に俺を一人にしとくなんて、ヒドいじゃないか!」
「別に、俺はヒドいことなんてしていないぞ?」
 輝紀は雅臣を押し離しながら、面倒臭そうな顔で答える。
「無自覚ほどヒドいものはない……。それより、どこ行ってたの?」
「ん」
 輝紀の行き先を訊ねてきた雅臣に、輝紀は手に持っていた紙袋をズイッと雅臣に押しつける。
「な、何これ?」
「……プレゼント」
「え!?」
「お前、今日誕生日だろ」
「お、覚えててくれてたの?」
「……当たり前だろ」
 輝紀のぶっきらぼうな言い方には、照れが隠れているようだった。それに気づいた雅臣は、感激と輝紀の可愛さのあまり、再び輝紀に抱きついた。
「や、やめろ」
 言葉ではそう言っているものの、輝紀は抵抗らしい抵抗はしない。
「輝紀、本当にありがとう! 愛してるよ!」
「……大袈裟な……。……おめでとう」
 ぎゅっと腕に力を込める雅臣に、輝紀は少し苦しいと感じるが、雅臣の喜びようが嬉しくて、文句を言わずに雅臣の腕に抱かれていた。



【END】