雅臣と輝紀

眠さ故の過ち?

※高校生※


輝:…………ふぁ〜。

雅:ん? 輝紀、眠い?

輝:……別に。

雅:別にって、欠伸したじゃん。──あ、もうとっくに日付変わってたんだね。夢中になりすぎてて気づかなかった。

輝:夢中と言うより、お前がしつこかっただけだろう。

雅:何言っちゃってんの? 輝紀だって、最初は渋々ヤってた感じだったのに、途中からはすげー真剣だったじゃない?

輝:うっ…さい……。

雅:輝紀?

輝:……何。

雅:やっぱ、眠いんじゃん。(輝紀の髪を梳き、クスリと微笑う)

輝:……うっさ…い……。

雅:我慢しなくていーんだよ? ここで寝ちゃっても、ちゃんと俺がベッドまで運んであげるからさ。

輝:いや……だ……。(雅臣に髪を梳かれ、少し心地よくて瞼が閉じていく)

雅:嫌だなんてひどいな。変なことはしないから、安心してお休み?

輝:…………ん。

雅:……輝紀?(静かになった輝紀を覗き込み名前を呼ぶ)寝ちゃった…ね。


 雅臣は完全に輝紀が眠ったのを確認すると、軽く片付けをし、輝紀をベッドまで運ぶ。

 起こさないように慎重にベッドまで運び、自分も輝紀の隣に横になる。

 寝息をたてている輝紀の髪を撫でながら、しばらくの間雅臣は輝紀の寝顔を幸せそうな顔で見ていた。


雅:お休み、輝紀。


 雅臣は小さく囁くと、照明を消し輝紀の体温を感じながら目を瞑った。



 ──翌朝。



輝:まさおみーっ!

雅:うぶぅっ! な、何!? 何事!?(輝紀に叩き起こされまだ寝ぼけ眼)

輝:お前、何もしないと言っていなかったか!?

雅:へ? 何が?

輝:とぼけるんじゃない! コレは、何だ!(怒りに声を荒げながら、自分の首筋を指差す)

雅:……あ。

輝:コレは、何だ?

雅:えーと……、キスマーク?

輝:昨日まではコレはなかったはずなんだ。なのにどうだ。今朝目が覚めてみたら昨日まではなかったコレがあった。俺の記憶が正しければ、寝る前にコレをつけるような行為をされた覚えは少しもないんだ。それなのに、今コレは確かにある。

雅:て、輝紀……。

輝:ここまで言えば、俺の言いたいことはだいたい分かるよな?(睨む輝紀)

雅:え、えーと……。その……。

輝:ど・う・な・ん・だ?

雅:ね、寝る前の記憶、実は、定かじゃない…んだよ…ね。あ、あははは。

輝:……どういう意味だ?

雅:だ、だから、俺も、だいぶ眠くて、輝紀を運んだ後、すぐ寝たと、思うんだ…よな。

輝:…………。[見え見えの嘘をつきやがって]

雅:て、輝紀?[視線が痛い! 怖い! 殴る? 俺殴られる?](輝紀は身を竦めながら輝紀の顔色を伺う)

輝:……………………。お前、本当に覚えていないんだな?

雅:へ?

輝:俺を運んでくれた後、すぐに、寝たんだよな?

雅:は、はい。

輝:眠すぎて、記憶がないんだな?

雅:あ、あの……。(確かめるように訊いてくる輝紀に、言葉が詰まる)

輝:……ならいい。

雅:……え?

輝:眠すぎて覚えていないんだろう?それなら仕方がないと言ったんだ。

雅:ゆ、許してくれんの?

輝:許すも何も、覚えていないことを責められるわけがないだろう。

雅:て、輝紀!(ガバッと輝紀に抱きつく)

輝:[この馬鹿が。許すのは一回までだからな]


 輝紀は力強く抱きついてくる雅臣の背中を一度叩いてから、心の中で呆れたように呟いた。



【END】