雅臣と輝紀

それがアイ

※高校生※


雅:ねえねえ輝紀。

輝:知らない。

雅:ちょっ!? まだ何も言ってないじゃん!?

輝:お前の言うことはだいたい変なことだろう。

雅:変だなんて酷いじゃないか? 俺はいつも真面目に喋ってんのにさー。

輝:じゃあ、俺は今忙しいからお前の話を聞いている時間はない。

雅:『じゃあ』って何!? ソファに座ってるだけなのに、それのどこが忙しいの!? そんなに俺の話を聞きたくない!? ま、まさか、輝紀はもう俺に愛想つかした!? 嫌いになっちゃった!? 他に気になる男ができた!?

輝:おい、ちょっと待て、落ち着け。何で『気になる男』なんだ? そこは普通は『気になる女』じゃないのか?

雅:輝紀は女の子好き?

輝:当たり前だ。普通の男は女が好きなものだろうが。

雅:じゃあ俺は?

輝:…………。

雅:俺は女じゃないよ? 輝紀は男は好きじゃないんでしょ?

輝:…………。

雅:ねえ、黙ってないで何か言ってよ。

輝:…………。

雅:……ねえ。輝紀?

輝:ち、近づいて来るな!

雅:何で?(ニヤリ)

輝:お前な!

雅:ん? 何かな?

輝:────っ![こいつ、絶対にわざとやっているだろ!?]

雅:輝紀、ちゃんと教えて? 俺は、男なのにどうして……?

輝:わ……。

雅:『わ』?

輝:わ…悪いかっ!?(急に立ち上がる)

雅:うわっ!? は? え? ちょ? 輝紀?

輝:いちいち理由がなければいけないのか!?

雅:えっ!? いや、別にそうじゃないけど。な、何で怒っちゃってるの!?

輝:うるさい! 怒っていないっ!

雅:て、輝紀ー? 怒ってないならこっち向いてよー?

輝:────っ。

雅:[あ。耳が赤い。輝紀ってば、照れちゃってるんだ。かーわいーなー]……輝紀、ごめんね?

輝:何謝っているんだ……?

雅:だって、元はと言えば俺が意地悪しちゃっのが悪かっんだし? だから、謝った方がいいかなー? ってね。(立ち上がり後ろから腰の辺りに手を回し輝紀を抱きしめる)

輝:ばっ、離せ!

雅:やーだ。輝紀が機嫌直してくれるまで離さない。

輝:俺は別に機嫌なんて悪くない!

雅:うーそ。

輝:っ!(首筋にキスをされ、肩を竦める)

雅:俺は、男とか女とか関係なく、『輝紀』が好きだよ。

輝:な、何だよ突然。

雅:愛の告白。

輝:……馬鹿なこと言っているんじゃない。

雅:真面目も真面目、大真面目。俺は輝紀が大好きです。愛してます。目に入れても痛くないくらい、輝紀を想ってます。

輝:最後のは違うだろうが。

雅:あれ? そうだっけ? まあいいじゃん。

輝:本っ当、馬鹿なんだからお前は。(フッと小さく笑った)

雅:機嫌、直った?

輝:だから、元々悪くないと言っているだろうが。

雅:そーだったっけー?

輝:……で?

雅:ん?

輝:いつになったらこの手を離すんだ?(腰に回された雅臣の手を軽く抓る)

雅:んー。離さないかも?

輝:離せ。

雅:いーや。

輝:おいっ! どこ触ってんだ!

雅:どこだろうねー?

輝:お、おい、押しつけてくるんじゃない!

雅:何を?

輝:──っ!(雅臣を睨みつけようと後ろを向いたらキスをされた)

雅:……ねえ、いい?

輝:…………っの馬鹿臣。

雅:嫌がらないってことは、いいんだよね?

輝:そういうことは、いちいち訊かなくていいんだよ!

雅:でも、訊かないと怒るでしょ?

輝:別に……。

雅:怒らない?

輝:……しつこい!

雅:いたっ!

輝:離せっ!(雅臣の腕からすり抜けた)

雅:えっ! ちょっと待って!

輝:…………。

雅:てるき〜!

輝:本当、馬鹿だ。(ボソリ)



【END】