雅臣と輝紀

これからもね

※大学生※
※メタ発言一部あり※


雅:てーるき!

輝:……いない。

雅:いやいやいや! めっちゃそこに居るからね!? 俺の目の前で寝転んでいるからね!!

輝:なんだよ、いちいちうるさいな。(一人喚く雅臣に鬱陶しそうに眉を顰めながら起き上がり)

雅:そんなつれない顔しちゃ嫌! ほら、いつもの可愛い顔して!(輝紀の頬をつまみながら満面の笑みで言い)

輝:鬱陶しい。(雅臣の手をバシリと払い除けて雅臣から背をむける)

雅:てーるき、こっち向いてよー!

輝:抱きつくな、暑苦しい。

雅:いーじゃん、せっかくの休みなんだし、ゆっくり輝紀にくっついていたいんだもん。

輝:そんなこと言って、お前は休みじゃなくてもいっつも俺にひっついているじゃないか。

雅:それはそれ、これはこれ。

輝:なんだよそれ……。(雅臣の発言に大きくため息をつき、それでも雅臣から離れることはしない)

雅:それよりさ、今日は話があるんだよね。

輝:あ? なんだよ、改まって。

雅:うん、あのね……。(輝紀に回していた手を離し、輝紀の前に回ると、いつになく真剣な顔で輝紀の顔を覗き込み)輝紀、俺と、一緒に住んでくれない?

輝:……!?(雅臣の発言に輝紀は大きく目を見開き、震える声で雅臣に言う)……雅臣、まさか。

雅:……。(輝紀からどんなことを言われるのかと真剣な表情を崩さないまま輝紀を見つめて)

輝:俺たち、もしかして……。まだ一緒に住んでいなかったのか!?

雅:……そこは、突っ込んじゃいけないところでしょーが輝紀!!(輝紀の発言に雅臣は一気に気が抜けたようにフニャっとその場に倒れこむと、輝紀を見上げながら複雑な表情を浮かべて言う)

輝:おい、大丈夫か?

雅:大丈夫だけど、大丈夫じゃないよー!

輝:どっちだよ。

雅:もうこの際どっちでもいいよ。(不貞腐れたように頬を膨らませて輝紀に擦り寄るように近づく)突っ込まずにちゃんと返事して欲しかったー。

輝:いやだって、気になったんだからしょうがないじゃないか。で、結局はどうなんだよ。

雅:何が。

輝:俺たち、別々に住んでんのか?

雅:たぶんね。そこら辺の設定は曖昧だから俺にもよくわかんないよ。(どこかを睨みつけながら輝紀の問いかけに答え、起き上がると輝紀の膝に手を置き)

輝:というか、俺たちは今どこにいるんだ?

雅:輝くん、どこまでそのネタを追及するつもり?

輝:輝くん言うな。……別にいいじゃないか? それに、今回はこういう話しだし。

雅:こういう話ってどういうこと! 何それ!? 俺知らないよ!? ってか、えっ? やめて、現実的なこと言っちゃいや!! 僕、そんな輝紀くんなんて知らないわ!

輝:……お前、キャラ崩れてるぞ?

雅:輝紀がおかしなことばかり言ってくるんだもん、少しくらいおかしくなったって変じゃないでしょうが!

輝:よしよし。(興奮している様子の雅臣の頭を撫でながら落ち着くように促す)

雅:……そんなんじゃ騙されないからね。

輝:騙すって何だよ。

雅:それっぽっちじゃ、傷ついた俺のハートは癒されはしないんだから!(勢いをつけて背筋を伸ばすと、輝紀の両肩を掴み、顔を近づけ)

輝:お、おい、雅臣。(いきなり近づいてきた雅臣に狼狽しながら雅臣に比例するように顔を遠ざけ)

雅:輝紀、キス、して?

輝:はっ!?(雅臣の発言に目を見開き)何でいきなりそんな話になるんだよ? 今回は、一緒に住むかどうかの話じゃなかったのか?

雅:そんなの、今さらだよ。それに、その話を最初に打ち切ったのは輝紀の方でしょう?

輝:それは、そうかも、しれないが……。

雅:輝紀、俺とキスするの、嫌なの?

輝:嫌って言うか、そういう問題じゃないって言うか。

雅:輝紀……。(輝紀の耳元に口を近づけ、息だけで輝紀の名前を囁く)

輝:……っ。(耳に掛かった息に首を竦ませながら、近くにある雅臣の横顔を伺い見て)それで、お前の気は済むのかよ?

雅:うん。

輝:……。(どこか納得しきっていない表情をしながらも、雅臣の頬に両手を添えると、ゆっくりを顔を近づけていき)

雅:ん……。(触れた輝紀の唇に嬉しそうに口角を持ち上げ、輝紀の肩に置いていた手を輝紀の背中に回す)

輝:っ……ん……。(啄ばむように角度を変えながら何度か唇を合わせ、ゆっくりと雅臣から口を離し)

雅:それだけ……?

輝:っ! こ、これで十分だろうが!?(雅臣の官能的な表情にドキリとしながら答えると、フイッと雅臣から顔を逸らす)

雅:えー、俺はすっごい物足りないんだけど?

輝:お前のことなんか知るかよ。

雅:冷たくない?

輝:普通だろ。

雅:でも、そんなつれない輝紀も可愛いよ。(背に回していた手にギュッと力を込めながら言うと)ねえ、輝紀?

輝:何。

雅:一緒に、住もう?

輝:……。

雅:今度は、変なこと言っちゃ嫌だからね?

輝:……さすがにもう言うわけないだろう。

雅:それはどうかなー。だって輝紀だしー。

輝:それはどういう意味だよ。

雅:輝紀は輝紀って意味。

輝:本当に意味が分からないんだが?(眉根を寄せると、雅臣の背をバシリと叩く)

雅:いった。輝紀は手が早過ぎだって。

輝:うるせーよ。

雅:それに、手加減ってものを知らない。

輝:だから――。

雅:そんな輝紀だけど、優しくて純粋でちょっぴり怖がりで強がりで、そこがとっても愛しいんだよね。

輝:……。(雅臣の発言に怒りたいようなむず痒いような感じになり、黙る)

雅:でも、何年か一緒にいるけれど、俺の知らない輝紀はまだいると思うんだ。だから、今よりもっと、もっと一緒にいたいんだ……。(最後の方は小さな声で囁くように、訴えるように輝紀に言う)

輝:……雅臣。(雅臣の髪に指を潜り込ませながら雅臣の名前を呟くと)俺も、一緒にいたい。

雅:……。(輝紀の言葉に今にも泣き出しそうな顔をしながら輝紀の肩口に顔を埋める)

輝:……かも。

雅:フフ……。最後のは、余計だよ。

輝:うるさい。(雅臣の髪に口付けを落としながら拗ねたような口調で言う)


 二人はしばらくそのまま抱き合ったまま、ゆっくりと流れていく時間に身を任せていた。



【END】