雅臣と輝紀
絆の深さを再確認
※高校生※
輝:カッコイイな。
雅:輝紀?
輝:雅臣、これ見てみろよ。(手に持っていた雑誌を雅臣の方に手渡し、それまでに見ていたページを指差しながら言う)
雅:どれどれ?(輝紀の手から雑誌を受け取り、指差された箇所を見て固まった)
輝:この人、カッコイイだろ?
雅:………………。
輝:何か憧れるよなー。
雅:………………。
輝:雰囲気かな? こう、大人って感じが人の目をひきつけるって言うか……。って、聞いてるか雅臣?
雅:……わき。
輝:あ?
雅:浮気だー!
輝:っ!? 耳元でいきなり叫ぶな!
雅:だって、輝紀が浮気! これが叫ばずにいられるか!
輝:誰がいつ浮気したよ。
雅:輝紀がたった今、俺の目の前で!
輝:はっ!? 何寝ぼけてんだよ?
雅:俺は寝ぼけてなんかいないよ! 正常そのもの!
輝:戯言言ってる時点で、寝ぼけてるとしか言いようがねーよ。
雅:だって、輝紀がこの人のこと格好いいとか言うから、俺は輝紀が心変わりしちゃったと思って。
輝:あのな、何で雑誌のモデルに心変わりしなくちゃいけないんだよ。その突拍子もない考えは、いったいどこからくるんだか……。
雅:この頭。(自分の頭を指差す)
輝:……お前、自分が馬鹿だって自覚あったんだな。俺は安心した。
雅:なに対して安心したのか、詳しく訊いてもいいかな?
輝:なんだ? 詳しく俺の口から聞きたいのか?
雅:……えっと、ボロクソ言われそうな気がするから、聞かないでおくわ。
輝:なんだよ。話す気満々だったのに。
雅:何でそんなにがっかりした顔するかな。本当に輝紀はSなんだから。
輝:何を言う。お前の方がドSじゃないのか?
雅:そうかな? 俺はどっちかっていうと……。
輝:なんだお前、ドMの自覚があったのか?
雅:……あのさ、どうして『ド』がつくわけ?
輝:お前が変態だから。
雅:おーう、それはまたキツイお言葉でございますこと。そして理由にもなっていないような。
輝:そんな変態が好きな俺の方が変態なのかもしれないな。(いじける雅臣を無視して呟く)
雅:輝紀!!(丸めていた背中をただし、輝紀に勢いよく抱きつく)
輝:[今日は抱きついても許してやるか]
雅:輝紀すきすき〜!!
そのまま雅臣は輝紀に抱きつき続け、どさくさに紛れ輝紀を押し倒した。
当然、殴られそれ以上の行動はできなかったのであるが……。
雅:ひどいよ輝紀!
輝:いきなり押し倒す方が悪い!
雅:じゃあ、了承取ればいいの?
輝:そ、それは……。
雅:ヤってもいいですか?
輝:っ!! お、お前は他に言い方はないのか!
雅:ちゃんと言ったじゃないのさ。
輝:もっと。言い方ってものが……。
雅:照れてんの?
輝:あ、呆れてんだよ!
雅:ぐっ。今のパンチは重かった……。
輝紀の一撃を受けた雅臣は、輝紀の膝の上にぐったりと倒れこんだ。
輝:……アホめ。
苦笑いを浮かべながら、輝紀は膝の上にいる雅臣の頭を柔らかく撫でていた。
【END】
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