雅臣と輝紀

看病してやるよ

※大学生※


雅:……腹痛い。すっごく腹が痛い。

輝:どうしたんだ? 変なもんでも食ったか?(苦しそうに腹部を抱えて蹲っている雅臣に、そっと近寄りながら雅臣の背中に手を置いた)

雅:輝紀が優しい。

輝:アホなこと言ってると、腹殴るぞ?

雅:ごめんなさい、それだけは今は勘弁してください。

輝:具合が悪い時くらい、戯言言うのやめろよな。

雅:うん、冗談言うのも結構辛いかもしれない……。(ますます蹲り、背中に感じる輝紀の手の温もりに安心感を感じながら腹痛に耐える)

輝:そんなに辛いか?

雅:結構、きてる。

輝:おい、本当に大丈夫かよ。薬、飲んだか?

雅:うん、さっき……。もうちょっとしたら効くと思うんだけど……。

輝:医者には行かなくていいのか?

雅:そこまでじゃないと思うから、大丈夫。

輝:そっか? いつまでも蹲ってないで、横になれば? それより、そうしてる方が楽か?

雅:うん、この体勢が一番かも。

輝:そうか。何かして欲しいこととかあるか?

雅:ん。もうちょっとそうやってて。(背中に回っている輝紀の手にそっと触れながら、輝紀に言う)

輝:こんなことでいいなら、いくらでもしといてやるよ。

雅:輝紀がこんなに優しいなら、いつでも病気になっていたいかも……。

輝:馬鹿なこと言ってんじゃねーよ。健康が一番だ、健康が。

雅:そうですよね。[結構本気だったりして]

輝:何か思ったか?

雅:いいえ、滅相もありません。

輝:……早く、よくなれよ?

雅:うん、早くよくなって、早く輝紀を思い切り抱きしめたい。

輝:だから、馬鹿なことを言ってんじゃないっての。

雅:うん。


 少しは楽になったのか、雅臣は始めよりは多少顔色をよくしながら、輝紀の温かさを感じていた。
 もう少し、もう少しだけ、輝紀の温かさを感じていたい。いたいのは嫌いだけど、今は、この痛さに感謝している。雅臣はそんなことを考えながら、輝紀の手をギュッと握っていた。



【END】