雅臣と輝紀
本音★
※【発見】の続き※
輝紀はほぼ裸の雅臣と、手に持っているローターを前に考えていた。
ローターにスイッチを入れたはいいが、見たのも手にしたのも初めてなのだから、もちろん使用したことなど今の今まで一度もなかった。
……あれか。ただ、押しつけてみりゃいいのか? こんだけ振動してんだから、ちょっと当てただけでも相当キたりすんのか?
考えてるだけでは答えは出ないという結論に至った輝紀は、ジっと自分の方を見ている雅臣にふっと笑みを見せた後、手始めに雅臣の首に当て、そこからゆっくりと下に移動させていった。
「ふふっ、輝紀。くすぐったいよ」
「あそ? じゃ、ここは?」
くすぐったそうに身を捩じらせている雅臣に、輝紀は肌を滑らせていたローターを胸の突起に当ててみた。
「うぁ!?」
不意にきた突起への振動に、雅臣はビクリと躰を震わせた。
「お?」
雅臣の反応に、輝紀は顔を輝かせた。
「輝紀、その顔何!?」
「ん? 顔がどうしたって?」
自分がどんな表情をしているのか分からない輝紀は、雅臣の発言に首を傾げ、雅臣の突起の周りを円を描くようにローターでなぞった。
「うはぁっ」
「色気のねえ声出すなよ。萎える」
「萎えるとか言われても困るし。それに、ただくすぐったかったから、しょうがないし」
不機嫌な表情を浮かべる輝紀に、雅臣は込み上げてくる笑いを押し殺しながら言った。
笑うなんて反応は何一つとして面白くもない。さっきの反応がもう一度見たい。そう思った輝紀は、突起の周りを這わせていたローターを離し、今度は反対側の突起に移動させると、突起を押しつけるようにして当てた。
「うはっ……。はっ、ん……」
「……何か、微妙な反応だな。くすぐってえの? 気持ちいいの?」
どっちなんだと輝紀は雅臣に問うが、雅臣はその答えに迷っていた。
くすっぐたいことはくすぐったい。だが、それとも何か違う感覚も存在している。それが気持ちいいということなのだろうが、素直に『気持ちいい』とはなぜか言いたくないし、認めたくもない……。
雅臣が一人葛藤していると、そんなことなどつゆほどにも知らない輝紀は、突起にローターを押しつけたり、捏ねくり回してみたり、つけたり離したりなどして、遊ぶような感覚で弄り続けていた。
「うっ……。っ……、ん……」
「なあ、どうなんだよ?」
「い、言いたく、ん……、ない……」
「何で?」
「……はずかしい」
「…………」
いつもいつも恥ずかしいことばかり言って、恥ずかしいことばかりしている雅臣が恥らうなんて……。輝紀は馬鹿じゃないのかと思う反面、可愛いなどと感じてしまった。そのことをあえて口にしなかった輝紀であったのだが、その表情にははっきりと思っていたことが出ていたらしい。
「輝紀、変、な顔」
「お前に言われたくない」
「うあっ!それ、やだ……っ」
グッと輝紀がローターに押しつけると。雅臣は躰を震わせながら手を突っぱね、輝紀を自分から遠ざけようとする。
「何? これがいいのか?」
雅臣の反応に、輝紀はぐいぐいと突起にローターを押しつける。その度に自分の肩を押しながらイヤイヤと首を振る雅臣に訊く。
「ちがっ。――っ、イヤ、だって、ばっ……」
「でもさ、ここ、反応してんだけど?」
下着の上からでも分かる程度に反応を示し始めている雅臣の雄を指でなぞりながら、「湿ってきてんじゃん?気持ちいいん、だろ?」輝紀はニヤニヤと口元を緩めて言う。
「……っ。気持ち、よくなんか、ぁ……」
「ホントはすげーここ、感じてるくせに」
素直に言わない雅臣に、輝紀は言うと、片方の突起をローターで弄りながら、もう一方の突起を口に含んだ。
「はわっ!?」
「変な声」
「だ、だって、不意打ち! うっ……」
突起を舌で転がし、唇で挟む輝紀に、雅臣は背中を走りぬけたゾクっとした快感に顔を歪めた。
両の突起を同時に、しかも違う動きで攻められ。雅臣の息はだんだんと荒くなっていく。
「うあぁっ」
口に含まれている方の突起を甘噛みされ、声が我慢できずに雅臣は高い声をあげた。
輝紀はわざと口に含んでいる方の突起を音をさせながら離すと、ローターのスイッチを切りそれも同時に離し、雅臣の表情を伺った。
頬を上気させ、荒い息をつきながら恍惚とした表情を浮かべている雅臣に、輝紀はひどく欲情した。そして、もっと雅臣をいじめ、もっともっとこんな顔をさせてみたい。
自分の中にこんな感情があるなんて、知らなかった……。輝紀は知らずと舌なめずりをしながら、雅臣の下肢に視線を移す。
完全には勃起をしてはいないが、しっかりと反応を示し手いるそこに軽く手を触れさせ、撫でる。
「んっ……」
下着の上からのじれったい刺激に、雅臣は眉根を寄せ輝紀を見る。
「ん? 何だ?」
「や、だ……」
「何が? もしかして、直接触って欲しいとか?」
「――っ」
輝紀に図星を指された雅臣は、顔を赤くしながら目を泳がせる。
「ちゃんと言わねえと分からないって、お前はいつも言ってるよな?」
「うっ……」
「俺も、ちゃんと言ってくんねえと理解できねえんだけど?」
意地悪に口の端を上げる輝紀に、雅臣は珍しく輝紀のことを睨みつける。
いつも自分が輝紀に対して確かに言っている言葉ではあるが、それを自分が仕返されるとは思ってもいなかった。こんなにも屈辱で恥ずかしいことだなんて……。
雅臣は、これからは気をつけようと思いながらも、もどかしく痒い感覚から早く抜け出したいと、恥を忍んで輝紀に言った。
「ちゃんと、直接触って……」
その言葉に輝紀の口はもっと弓なりになる。それまで下着の上からゆるゆると撫でていた手を下着の中に進入させ、半勃ちなっている雅臣の雄を手の平に握りこむ。
熱く濡れているそれ。胸だけの刺激でここまで反応をしている雅臣に、
「もう、こんなに硬いな。自分でも、分かる?」
「そ、そんなこと……」
「ちゃんと分かってんだ? 乳首弄られただけでここ硬くしてるなんて、お前ずいぶんと敏感だよな」
「それは、輝紀のっ!」
「俺の? ……俺のせいだって言いたいのか?」
「そ、そうでしょうが!」
「……ふん。まあ、否定はしねえよ?」
フイッと顔を逸らした雅臣に、輝紀は下着の中から手を出すと、一気に雅臣の最後の衣服を足から抜き取った。
それまで下着により押さえつけられていた雄は、何の押さえもなくなり頼りなさげにフルフルと震える。そんな雅臣の雄を輝紀は何のためらいもなしに握りこむと、上下に扱きそれに芯をもたせた。
ほとんど勃ち上がりかけていた雄は輝紀の手により簡単に頭をもたげ、完全に勃起する。
「すげもうガチガチ」
「そ、そんなこと言わなくてもいいじゃん」
「……ホント、お前はよくそんなことが言えるよな」
普段の自分を振り返ってみやがれ。輝紀はそう思いながら、スイッチを切り、床においていたローターを手に取った。
「輝紀! まさか……!?」
「ん? どうした? んな顔して?」
ローターを手にした輝紀に、雅臣の顔からサーっと血の気が引く。その様子を輝紀は楽しそうに見ると、嫌だという風に首を左右に振っている雅臣を無視して、ローターの電源を入れる。
再び部屋の中に響き始めた振動音に、雅臣は、俺ってば絶体絶命のピンチ!? と顔を引き攣らせる。
電源を入れたローターを手にしていた輝紀は、完全に勃ち上がっている雅臣の雄の裏筋に、容赦なくそれを当てた。
「はうぁっ」
「……だから、どうしていちいち変な声を出すんだっての」
「変って、言われたって、んんっ……、知らないしっ、しょうがないじゃんっ……」
雄に与えられている振動に、雅臣は声を震わせながら答える。
「気持ちいいんだ雅臣? さっきより元気になってる」
先走りを滲ませ始めた先端に指で触れると、輝紀はその雫を掬い取る。
「雅臣、コレ当てられるって、手でやられるより気持ちいい? こんなに粘つかせてるぜ?」
「て、輝紀、いつもより、卑猥っ。んンっ……。はぁっ……」
「お前だって、いつもよりすげえエロイ」
雅臣の雄に当てているローターを上下に動かしたり、時折グッと押し当てながら、輝紀は雅臣の反応を楽しむ。
「んんっ! うぁ……。あっ……」
……マジ、エロイ。顔なんか赤くしちまって、目なんて涙目になってるし。興奮するって、こんな感じなんだな。輝紀は、自分の雄が触れてもいないのに芯を持ち始めていることが分かるほど、雅臣の姿に欲情していた。
普段とは異なる己の興奮のしかたに、輝紀は苦笑ともつかぬ笑みを浮かべる。
「……っあ、てる、き。わらって、る……?」
「お前がエロすぎるからだよ」
「輝紀の、顔も、じゅぶん、んっ……。エロイっ。あぁっ……!」
ローターが雄の先端に当てられ、雅臣は躰を仰け反らせて、いっそう大きな嬌声を上げる。
凄くじれったい……。雅臣はとても感じているにもかかわらず、もう一つ刺激の足りぬもどかしい感覚に、輝紀の腕を掴み、訴えた。
「輝紀っ。もう、イきたいっ……」
「これだけじゃ、イけねえの?」
「何か、足りないっ……」
「……足りないって、お前な」
言い方がすっげエロイ。雅臣の切羽詰った訴えに、輝紀はズクンと下半身が一つ脈打つのを感じ、乾いていた唇を舐めて潤すと、雅臣の雄に当てていたローターのスイッチを切った。
それまで雄に与えられたいた刺激がなくなり、雅臣は一つ大きく息を吸い込んだ。
絶頂に近い雅臣の雄はヒクヒクと揺れ、むず痒いような感覚に雅臣は身を捩る。
輝紀はスイッチの切れたローターを無造作に床に放り投げると、開放を求めて揺れている雅臣の雄に手をそれ、それを口に含んだ。
「えっ!? 輝紀!?」
自分からは絶対に口ではやらない輝紀の行動に、雅臣は驚き目を見開く。
そんな雅臣を一度チラリと上目で見た輝紀であったが、雅臣の反応をものともせず、口に含んだ雄を犯していく。
「うあっ! んぅ……。っ……」
ねっとりと絡みついてくる輝紀の舌の感覚。暖かい咥内に、限界に近かった雅臣の雄は、我慢できずにすぐに高みへと上りつめた。
「あっ! 輝紀、イくっ……!イくから……っ」
「ん……。イけ、よ」
精を開放しそうになった雅臣が、輝紀を引き剥がそうとするが、輝紀はそれに逆らい雅臣の雄に最後の刺激を与える。
「ばかっ、てる、き……っ。――っ」
先端に舌をねじ込むようにされ、雅臣は輝紀の咥内で精を放った。
口の中で放たれた白濁に、輝紀はむせそうになりながらもそれを飲み込み、萎えようとしている雅臣の雄から残滓を吸い取る。
「んっ……はぁ……。はぁ、はぁ……」
口元を手の甲で拭いながら雄から口を離す輝紀を、息を整えながら雅臣は見る。
輝紀が口でしてくれて、あまつさえ、俺のを……。もしかしたら、夢でも見ているのではないかと疑いたくなる光景に、雅臣は顔を歪めながら赤くする。
「……なんで、顔赤くしてんだよ」
上体を起こした輝紀は、テーブルの上に置いてあった水のペットボトルを取り、中身を飲みながら、おかしな顔をしている雅臣に問いかける。
息の落ち着いてきた雅臣は、汗ばむ躰を床から離し、起き上がると、輝紀をジッと見つめらながら、
「だって、輝紀が俺のを口でしてくれて、いつもは絶対に嫌がるのに、飲んでくれたから、恥ずかしいというか、嬉しいというか」
妙な心境なんですと言う雅臣。
「それを言うなら、俺だって妙な感じなんだよな」
「どこが?」
雅臣に問われ、水を一口飲むと、輝紀は口の端を上げてニヒルに笑う。
その輝紀の表情に、背中に悪寒の走った雅臣は、無意識に輝紀から身を遠ざけるように後に手をつき体をそらせた。
引いていく雅臣に比例して、輝紀は雅臣に近づくと、雅臣の顎を取った。
「俺、お前をヤりたい……」
妖艶な笑みを湛えて言う輝紀に、一瞬見とれた雅臣。しかし、すぐに我を取り戻すと勢いよく輝紀に反論する。
「嫌! 駄目! 無理!」
「なんでだよ」
「輝紀は俺に抱かれる運命なの! その逆はありえないの!」
「運命とか言ってんな、気色悪い。それに俺は女じゃねえんだ。抱かれるだけで満足できるかよ」
「そんな色っぽい声出しても、駄目なもんは駄目なの!」
「男なら、惚れた奴を抱きたいと思うのは当たり前だろうが」
「そ、そう言われると……」
輝紀の言葉に何も反論ができない雅臣は、押し黙る。
好きな相手を抱きたい気持ちは分かる。よっく分かるよそれは。痛いほど分かるけど! 輝紀に抱かれるの嫌かって言いわれたら、それは嫌じゃない……。ような気もするけど。でも俺の方が輝紀を抱きたいわけで!!
ブツブツと言いながら葛藤している雅臣を見て、輝紀はこらえきれずに吹きだす。
ちょっとからかってやろうと思っていたのに、コレは予想以上に楽しい。もっとコイツをからかって遊ぶのも面白いが、俺、もう限界なんだよな。雅臣の痴態を見て、膨れあがった輝紀の欲は、いまだ開放されることなく燻っていた。放っておけば自然と治まるだろうとは思いつつも、輝紀はあえてそれを開放させることを望んだ。それも、自らの手ではなく、雅臣の手によって。
笑っていた輝紀に、訝しげな視線を向けていた雅臣は、様子が変わり、近づいてきた輝紀にうろたえる。
「て、輝紀?」
「なあ、お前、まだできるか……?」
「え? や、やだよ」
「何が?」
「だって、俺を抱くんでしょ、輝紀?」
「……心配すんな。今日はしねえよ」
「今日はって、なんなんですか!?」
「まあ、気にすんな」
「気にするに決まってんでしょーがー!!」
雄叫びを上げる雅臣に、輝紀は問答無用で黙らせると、雅臣の上にまたがった。
今日のところは色んな意味で楽しかったから普段どおりにしておいてやる。輝紀は、心の中でいつか必ず。と思いながら、雅臣にキスを仕掛け、快楽の渦へと自ら堕ちていったのであった。
【END】
と、途中で力尽きたわけでは決してありませんよ?
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