雅臣と輝紀

※高校生※


雅：さて輝紀。今日は俺と話し合いをしようじゃないか。

輝：は？　いったいなんのだよ？

雅：俺たちの行く末についてだよ。

輝：［行く末ってなんだよ？　というか、なんで無駄にシリアスなんだ……？］

雅：輝紀、ちゃんと聞いてる？

輝：あ、ああ……。（珍しい雅臣の様子に気圧され頷く）

雅：俺たち、これからどうなるのかな？

輝：……さあ？

輝：さあ、じゃなくて。どうなると思う？

輝：それは、お前に何か思うところがあってこの話振ってきたんじゃないのか？

雅：ううん。特にないよ。

輝：……んな真剣な顔してっから何かと思ったら……。俺は今、軽くお前に殺意を抱いた……。

雅：いった！！　そう言いながら殴らないで！！

輝：無意識だ。気にするな。

雅：気にする！　めっちゃ気にするから！

輝：器のちいせえ男だな。

雅：器関係ないでしょ！？

輝：いや。おおいに関係するな。俺は悲しい。俺の愛しの恋人が、そんな些細なことで怒るだなんて……。

雅：うっ……！！　だ、騙されないんだからね！！

輝：騙す？　何言ってんだ？　なんのことだ？

雅：そうやってわざと悲しそうにしたって、俺には分かるんだからね！

輝：わざとだと？　俺がか？　何冗談言ってるんだよ？

雅：俺にはちゃんと分かるんだ！！　輝紀のことなら分からないことなんてないんだから！！

輝：…………。（胸を張って言われ、舌打ちをしたいのを我慢しながら黙る）

雅：えっ！？　もしかして疑ってる！？

輝：別に。

雅：ホントに！？

輝：ああ、ホントだよ。

雅：……棒読みなのが不安なんだけど……。

輝：ホントに思ってる。そこまで俺を思ってくれて嬉しいよ。

雅：……！！（柔らかく微笑まれ、頬にキスをされ、歓喜に躰を震わせる）

輝：……ふふ。（簡単にほだされた雅臣を見て愛しい気持ちが胸に芽生える。そんなことを感じる自分がおかしくて雅臣の頭を撫でながら小さく笑う）

雅：今日の輝紀は優しいね。

輝：馬鹿言え。俺はいつでも優しいんだよ。

雅：そうかな？

輝：今度はお前が俺を疑うのか？（笑みを浮かべたまま言うと、今度は雅臣の唇にキスをする）

雅：……っ。（予想外すぎる輝紀の行動の連続に固まる）

輝：まあ、今よりもっと優しくして欲しいってんなら、考えてやらなくもない。

雅：ホント？　……ありがと。

輝：それと、変なこと気にしたりすんよ。俺たちはずっとこのままだ。［行く末だなんて考える必要なんてないんだ。俺たちは今までもこれまでも、変わらずにいるに決まってるんだから］

雅：輝紀……。（輝紀の言葉に嬉しさを堪えきれず、思い切り輝紀を抱き締める）

輝：いてえよ馬鹿。（そう言いながらも笑みを絶やさず雅臣を抱き締め返す）

雅：大好き。愛してる……。

輝：泣くなアホ。

雅：嬉しい時は泣いていいんだもん。

輝：なんだそりゃ。


　二人は笑いあいながらしばらく抱き締めあっていた。
　いい雰囲気のついでにことに及ぼうとした雅臣が、殴られたとかそうでなかったとか。だが、それも彼らの日常の一部なのだった。



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