雅臣と輝紀
ケイジ
※高校生※
雅:ねえ、輝紀。輝紀ってさ、俺のどこが好きなの?
輝:……なんだよ、藪から棒に?
雅:だって、気になったんだもん。
輝:『もん』って言うな、気色悪い。
雅:恋人に向かって気色悪いはないでしょ!? 俺、泣いちゃうよ!?
輝:……勝手に泣いてればいいんじゃないか? 俺に被害がなければ俺は構わないからな。
雅:ああ……! 神様!! 輝紀が冷たいです! どうして俺の彼氏はこんなに冷徹人間なんでしょうか!? (床に膝をつき、手を組み、空に顔を向けなが嘆く)
輝:……………………。(冷たい視線を雅臣に向ける)
雅:愛しい彼氏の小さな願い一つ聞いてくれないのです! これが嘆かずにいられますか!? (輝紀の視線を感じていながらも、気づかない振りで続ける)
輝:[殴りたい。すっげえ殴りたい……](拳を固めながら、自分と葛藤し、衝動を必死に堪える)
雅:俺はこんなにも彼を愛しているのに、彼はどうしてそれに答えてくれないのでしょう!? 俺の愛し方が足りないのでしょうか!? (だんだん楽しくなってきたのか、調子ついていく)
輝:……こいつは何がしたいんだよ……。(雅臣には聞こえない位の声で呟く)
雅:しかし、これ以上どう愛情表現をしたらいいのか……。……はっ!! (何か思いついたのか、いきなり輝紀の勢いよく見る)
輝:な、なんだよ……? なんで俺を見る……? (雅臣の様子に身の危険を感じた輝紀は、数歩後ずさる)
雅:神からの啓示を賜った。
輝:なんだそれ!? そんなもん、神を信仰してないお前があるわけないだろ!?(近寄ってくる雅臣に比例するように離れる)
雅:ありえたんだからしょうがないよね? (満面の笑みを浮かべながら、輝紀に近づいて行く)
輝:こ、こっちに来るな!
雅:逃がさないよ? これから輝紀には色々やってもらいたいことがあるんだからね。これも神の意思さ。大人しく従ってね?
輝:なあにが神の意思だ! てめえの意思だろうが!!
雅:俺の意思半分、神の意思半分さ。
輝:嘘つけアホ臣!!(雅臣に背中を見せるのは危険だと思い、後ろ向きに雅臣から逃げる)
雅:逃がさないって言ったよね? どこに逃げようと俺は必ず輝紀を捕まえてあげるからね。全力で。
輝:そんな無駄なところで全力なんか出すな!! ……に、ニヤニヤしながらこっち来んな!! つーか、最初の話しからだいぶ話題ずれてんじゃねえかよ!?
雅:俺はそんな些細なことは気にしない主義なんだよ。知ってるだろ?
輝:んなもん知るか!!
こうして雅臣と輝紀はしばらく子供のするような鬼ごっこを続けたのだった。
この日輝紀が雅臣から逃げられたのかは神のみぞ知るところなのだった……。
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