君だから2
「なんだよそれは?」
「そのまんまだよ。なあなあ、それよりさ、どーっしても駄目?」
「お前の方こそ、どうなんだ?」
卓磨と彰は、双方折れる様子もなく睨み合っている。
しばらく睨み合っていた頃、彰が小さくため息をついてから口を開いた。
「こんなことしていても埒が明かない」
「だよねー」
彰の言葉に同感だと声を出した卓磨は、バンッと自分の両膝を叩き、彰の方を向く。
「ここはやっぱ」
「実践勝負か?」
「あったりー」
卓磨の言葉の跡を継いだ彰に、卓磨はニッと口の端をつり上げて笑いながら答える。それにつられて彰も笑みを浮かべる。
二人はどちらと共なく顔を近づけていき、初めから激しいキスを交わす。
「ふっ…っ……」
「っ…ん……」
互いに息が荒くなってきた頃、卓磨が彰の服の中に手を入れながら、ゆっくりと彰をその場に押し倒す。
「……この前、彰が上だったから、今日は俺が、上でいいよね?」
「ああ」
荒い息の中、蒸気している顔の卓磨に言われ、彰はその顔に煽られながら卓磨の服を脱がせ始める。
お互い慣れた手つきで服を脱がせていき、上になっている卓磨がだんだんと躰の位置を下へとずらしていく。
「……っ」
「感じるなら、声出していいんだよ?」
卓磨が彰の乳首を口に含みながら、彰の反応を楽しむように言う。
その卓磨の様子に、彰は絶対に声を漏らすまいと口を堅く結ぶ。
「まったく、頑固なんだから」
ま、そこも可愛くて好きなんだけどさ。
卓磨はそんなことを思ったが、それを口に出したら彰がどんな反応を返してくるのか怖いくらいに想像がついたので、心の内だけに留めておく。
その間も卓磨の責めは続き、彰の下肢にたどり着いた卓磨は、ゆっくりとした動作で彰のズボンを脱がしにかかる。
「もう窮屈そうだね」
ズボンを脱がし、すでに反応を示している彰の雄を下着の上からなぞるように触れる卓磨。
焦らすように触れてくる卓磨に、彰は少し苛立ちを覚えるが、それを表に出したら卓磨の思うつぼだと思い、焦れったい快感に耐えるように眉根を寄せながら目を瞑る。
我慢しているのが分かる彰の表情を見て、卓磨はもっと焦らしてやりたいという欲求にかられた。そして、それを実行すべく、彰の下着をゆっくりと脱がせる。
下着の下で窮屈そうにしていた彰の雄は、押さえるものが何もなくなったおかげで、緩く天井を仰ぐ。
卓磨はその彰の雄の裏筋を、一本の指を先端から根本に向かって這わせる。
「っ……」
「彰、もう先っぽ濡れてるね」
卓磨は彰の雄の形を確かめるように丹念になぞっていく。
焦れったい卓磨の指に、もっとちゃんとした刺激を欲している彰の雄が、ヒクリと反応をした。
「っ……くっ」
彰の様子を伺いながらじっくりと焦らしてくる卓磨に、彰は熱のこもった瞳で卓磨を睨みつける。
その彰の眼差しに、卓磨は自分の雄が大きく反応したのを感じた。
彰の視線だけで感じてしまう自分に内心苦笑しながら、卓磨はそれを彰に悟られないような口を開く。
「どうして欲しい? ちゃんと言ってくれないとさ、俺バカだから分からない」
「てっめ……」
絶対にわざとだと分かる卓磨の口振りに、彰は怒りの視線を卓磨に向ける。
躰の奥に疼いている熱をどうにかして欲しいと思うのだが、それを彰自身の口から言うのはどうしてもプライドが許さない。卓磨はそれが分かっているからこそ、わざと言っているという部分もあるのだが。
いくら焦らしても口を開こうとする気配がない彰に、卓磨は苦笑を漏らし、
「まったく、少しは素直になればいいのに」
なぞっているだけだった彰の雄をキュッと握った。
「くっ……」
少し強めに握られたせいで、彰の腰がピクリと跳ねる。
その反応を見た卓磨は、もっとよく彰を感じさせようと、先ほどまでの焦らしとは正反対に強く責めていく。
「くっ…んっ……」
待ち望んでいた快感を与えられ、彰はその快感に顔を歪める。
「彰、気持ちいい?」
「うるさ……っ」
彰が口を開いた途端、卓磨は彰の雄の先端に軽く爪を立てた。その強い刺激に、腰を浮かせる彰。
「たくまっ……」
「ごめんごめん」
睨んでくる彰に、卓磨は緩く彰の雄を扱きながら謝る。
「卓磨……躰の向きを、変えろ」
荒い息の中、彰は卓磨に命令するように言う。
「はいはい」
彰の言葉に卓磨は素直に従う。ここで渋ったりしたら、後でどんなことをされるか分からない。卓磨はそう思い、彰を跨ぐ形で躰の向きを変える。
「お前だって、だいぶ窮屈そうに、しているじゃないか?」
ズボンの中ですでに十分大きくなり始めている卓磨の雄を見て、彰はズボン越しに卓磨の雄を扱く。
「っ……。早く、脱がせてよ」
布越しのせいでわずかにしか与えられない刺激に、満足のできない卓磨は彰に素直にお願いをする。
「お前は、もう少し我慢というものを、覚えたらどうなんだ?」
卓磨のズボンを脱がしにかかりながら、彰が苦笑を漏らす。
素直なところがまた可愛いんだが。
彰は卓磨に対してそう思ったが、口に出したら調子に乗るのは目に見えているので、思っていても決してそれを口に出したりはしない。
卓磨のズボンと下着を足から抜き取り、彰は露わになった卓磨の雄の根本を掴み、先走りで濡れている先端に舌を這わせる。
そこからくる快感に躰を振るわせた卓磨を見て、彰は薄く微笑みを浮かべる。
「先にイかせてやるから覚悟しろよ、卓磨?」
「何言ってんだよ。俺の方が彰を先にイかせてやるに決まってんじゃん?」
お互いのその言葉を合図に、相手を早くイかせようと責めを始めた。
相手の弱いところ弱いところを執拗に責めていき、お互いの荒い息づかいと卑猥な水音が部屋の中に響く。
どちらが先に音を上げるか分からないこの状況に勝利したのは……。
「フッ。俺を先にイかせるんじゃなかったのか?」
彰だった。
「っくしょー!」
勝負に負けた卓磨は、悔しそうな表情で脱力して床に横になる。
「でもさでもさ、そんなに差はなかったと思うんだけど?」
「負けは負けだ。ごちゃごちゃ言うなよ」
彰はまだ何か言いたそうな卓磨の口を塞ぎ、強制的に卓磨を黙らせる。
「じゃあ、始めようか?」
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