恋愛部成就課

報告書NO.01(3)

「……ん……っ。……明弘、そのまま目を瞑ってろよ。お前は、感じてるだけでいい……」
 勇実はそう言うと、硬さを取り戻し始めていた俺のちんこを、空いている方の手で扱いてきた。
 視界を塞いだせいで、感覚が敏感になってしまった。顔を覆ったことを後悔したが、手を離すこともできなくて、聞こえてくるぬちゃぬちゃという音と、勇実の口から漏れ出てる声、ダイレクトに腰にくる快感に嫌でも集中させられてしまう。
「くっ……、んん……、あ……んう……」
「はぁ……はっ……、ん……」
 どれくらいの時間が経っただろう。体感時間は長く感じたが、実際にはそんなに時間は経過していないかもしれない。緩く、焦らされているようなちんこの刺激が続いて、自分で腰を動かしてしまいそうになるのを我慢していると、ちんこへの刺激がなくなり、勇実が動く音がした。
 そっと手を離して勇実を見ると、勇実は尻穴を慣らしていた手をパーカーで拭いながら、ちょうど俺の腰の位置まで移動してきていた。
「勇実……」
「……何も言うな」
 勇実はローションを俺のちんこに垂らし、手を上下に動かして全体にローションを塗りたくると、その手でちんこを手で支えて、慣らした尻穴にあてがった。
 ごくりと唾を飲み込む。勇実とこんな風になるなんて、夢にも思わなかった。どんな形で童貞を卒業するのか、それとも一生童貞のままでいるのか、つい数時間前までそんなことを考えていたのに、その答えがこんなにも早くやってくるとは。理想とは程遠い現状だが、悪くないと思ってしまっている俺は、この場の雰囲気に完全に流されてしまっているのだろうか。
 勇実は一瞬俺と目を合わせてから、すぐに目を瞑ると、ゆっくりと腰を落としていった。
「んんんっ……!」
「うわ……」
 苦しそうな勇実の声。あてがわれた先端が、勇実の尻穴に吸い込まれていくみたいに入っていく。
 そうとう解したのか、それとも勇実が無理をしているのか、どんどんと勇実の尻が俺の太腿に近づいてくる。それにつれて、勇実の息も荒くなっていた。
「ぁっ……、はぁ……あ……、ん、はっ、あ……」
「……勇実、手……」
 両手で自分のパーカーを思い切り皺ができるまで掴んでいる勇実を見て、その辛そうな姿に俺は両手を勇実に向けて伸ばした。勇実は目を開けて、伸ばした俺の手と俺の顔を交互に見てから、躊躇いつつも両手を差し出してきた。恐る恐る伸ばしてくる勇実の手を取って、指を絡めて固く手を繋いだ。繋いだ手を握り返され、そして体重がかかり、勇実の尻が腿に完全にくっついた。
「んんっ……、ぅぁっ……。はあ、はあ……」
「大丈夫、なのか……?」
「……お前、こそ。こんなの……」
 ここまでやっておいて弱音を吐く勇実に苦笑する。
「お前、俺がお前を跳ね除けられないひ弱に見えるか? 本気で気色悪いと思ってたら、とっくの昔に跳ね除けて殴ってるっての」
 嫌がっていない証拠という風に、繋いだ手にぎゅっと力を込めてやった。勇実は手に視線を落としてから、ようやく柔らかく微笑んだ。
「……ありがと、明弘」
 勇実の瞳から一筋の雫が頬を伝って流れていった。その涙の理由は俺にはわからないが、さっきとは違う感情から流した涙だったらいいなと思った。
 しんみりとした雰囲気になってきて、柔らかい空気が部屋の中に広がっているが、下半身に与えられている刺激はさきほどから変わることなく俺を包み込み続けているわけで。勇実が呼吸するたびに蠢く尻穴の内壁に、俺のちんこはもどかしい刺激を与えられ続けていた。
 いい雰囲気なっているところに水を差すのは気が引けるが、昂ぶった熱を放置もしておけない。しかし、ここまでしておいてなんだが、動いてくれと勇実に頼むことはできない。
 このあとどうすればいいのかは、いくら童貞でも理解はしている。問題は、苦しくないようにちゃんとしてやることができるかということ。
 ……やってできないことはない、はずだ。
 そう思った俺は心の中で頷くと、寝転んでいる体勢を変えるために、繋いでいる手を引き寄せるように力を込め、起き上がった。
「ああっ! ちょ、急に、うごくな……!」
「うっ……! わ、悪い。でも、このままなの、俺もお前も、辛いだろ?」
 予告無しに動いたことで、勇実の中がきゅっと絞まった。ちょっと痛かった。
「動いても、大丈夫そうか?」
「はっ、お前、我慢できないのか? 童貞だもんな、しょうがねえか」
「そういうお前は、いわゆる【処女】ってやつじゃないのか?」
「しょっ――!」
 俺の発言に、また中に力が入った。これは、あまり余計なことを言わない方がいいのかもしれない。
 正直まだ戸惑いの方が強いのだが、勇実の反応が見たくて、勇実の腰に手を添えて拙いながらも下から突き上げてみた。
「あっ!? や、奥、入る……!」
「なあ、男でも中って、気持ちいいのか?」
 尻穴を使うと気づいた時からの思っていたことを、萎えてしまっている勇実のちんこに手を添えながら訊いた。
「なんて、いうか、圧迫感は、あんだけ、ど……っ。おまっ、しゃべってん、だから、動くなっ!」
「やっぱり、気持ちよくはないんだろ? なら、抜いた方が――」
「それは嫌だ!」
 食い気味に強く言われ、動きを止めた。
「……ごめん勇実」
「いや、俺こそ、我儘だってわかってるんだけど、どうしてもこのまま最後までしたいんだ」
 勇実は俺の首に腕を回し、背中を丸めて額をくっつけてきた。
 近い位置にある勇実の瞳に宿る意思は固い。それならば、俺にできることはその意思に答えてやることだけだった。
「……本当に辛かったら、言えよ?」
 勇実の背中に手を回し、ゆっくりと勇実を床に横たえる。座椅子の背に置いてあったクッションを取り、勇みの腰の下に差し込んだ。
「あっ、んっ……」
 ゆっくり慎重に腰を動かす。あまり抜き差しはせず、奥に入れたまま小さく揺さぶる。その動きに合わせてちんこを扱いてやれば、そこはだんだんと頭をもたげ始めてきた。
「んん、んっ……。あっ、ぁ……っ」
「ふっ……、っ……」
 腰を動かすたびに、二人分の息づかいと肌と肌がぶつかる音、ローションの水音が部屋に響いた。
 動きをだんだんと激しいものにしていきながら、勇実のちんこから滲んでくるカウパーを先端に塗りこむように、くりくりと動かすと、それに合わせて内壁が動いた。
「ああっ……! あっ、ん……あ……、それ、やだ……! さきっぽ、やだ……っ!」
「痛いのか?」
「ちがっ! きもち、よすぎ……! びりびり、くるっ……!」
「――っ」
「あっ!? なんか、きつ……!?」
 三十のいい歳の男だというのに、この反応はなんだろう。動かなくても、勇実の反応を見てるだけでイけてしまうかもしれない。
 もっと勇実のいい反応が見たくて、ちんこを弄る手をもっと大胆にしていく。