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言葉の解釈



 想いが通じ合って、俺はますますあなたを好きになっていた。
「俺、あなたに縛られたい……」
 あなたの腕に抱かれながら、何気なく口を開いた。
「はい。一生縛って離しませんよ」
 俺の言葉を聞いたあなたは、嬉しそうに言って俺を抱きしめる腕に力を込めた。
 その暖かさに包まれて、あなたの静かな鼓動を聴いて、だんだんと微睡んできた時──、
「……ねえ、明良(あきら)くん」
 俺の頭上に優しい声がかかってきた。
 俺は返事を返す代わりに、あなたの胸に顔を押しつけた。
「君のさっきの言葉、何だかエロい響きがありましたよね」
「……え?」
 あなたの言っている意味が分からなくて、俺は顔を上げてあなたを見る。
 見上げたその顔には、何かを企んでいるような怪しげな微笑みが浮かんでいた。
 俺はなんだか嫌な予感がして、少しだけ身を引いた。
「私、君の言葉を聞いて思いついたのですが……。どうでしょう。縛ってヤってみませんか?」
 あなたは満面の笑みを浮かべながら、あからさまに俺に訊いてくる。
 俺はそれを聞いて、多分嫌だって言ってもこの人はやるつもりだな。と思った。そう分かっていても、頷くことなどできるわけがない。
「嫌です」
「本当に?いつもと違うスリルが味わえますよ?」
「俺はスリルなど求めていません!ただでさえ、普通のでもダメージが大きいっていうのに!今はまだ普通で十分です!ヤるんなら普通にヤりましょう!」
 俺はそこまで言って、自分の発言に驚いて慌てて口を閉ざした。
 俺ってば何を言っちゃってんの?!これじゃあ、“ヤりたい”って言ってるのと同じことじゃないか!?
「そこまで言われたら、残念ですが今回は諦めます。それじゃあ明良くんのリクエストに答えて、今日は普通にしますか」
 いや、全然残念じゃないですから!てか、ヤろうとしてくれなくていいですから!!
 ていうか、『今回は』って何ですか!?もしかしていつかはするってことなんですかぁ!?
 そんなことを心の中で叫びながら、迫り来るあなたに俺はまともに抵抗することができなくて、そのまま組み敷かれてしまった。
 やめてくださいと言おうとしたけれど、それよりも先に口を塞がれ、深く口付けられて頭がぼーっとしてきた。
 あなたにキスをされるととても気持ちよくて、抗うことなどできなくなってしまう。
「優しくして欲しいですか?」
 耳元で囁かれたその言葉に、俺は素直に首を縦に振った。
「了解しました」
 あなたはふわりと微笑むと言葉の通り、まるで壊れ物を扱うかのように優しく触れてきた。
 俺はそのまま、流されるままにあなたに身を委ねていった──。



【END】