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できるものならすればいい
暖かい日差しが部屋の中に射し込んできて、自然と瞼が閉じていきそうになる。
油断すると眠りに落ちてしまいそうな気温。でも、絶対眠ってはいけない理由があった……。
「おい。さっきからほとんど進んでいねぇじゃないか?そんなに俺にお仕置きしてもらいたいのか?」
オレの向かい側に座っている男…孔乃(こうだい)が、ノートを丸めたもので机を叩きながら言う。
「お仕置きとか、意味わかんないこと言ってんなよ」
「意味はわからなくねぇ。そのまんまの意味だ」
孔乃はにやりと笑うと、手を伸ばしてオレの頬に触れてきた。
オレはその手を払いのけると、ため息をつきながらわざとらしく言う。
「なーんでオレは、お前なんかに勉強を教わってんだろ?オレの方が頭良いっていうのに……」
「『なんか』って何だ!もとはと言えば、お前が風邪引いて一週間も学校休んだのが悪いんだろーが。文句言うな」
はいはい、そうでしたね。
オレは心の中でおざなりに答えると、止めていた手を動かし始めた。
勉強を教えてもらっていると言っても、ただ休んでいたこの一週間分のノートを写させてもらっているだけなのだが。それでもたまにわからないところがあったりするので、そこは嫌でも授業に出ていた目の前のこいつに訊くしかなくて……。
「不本意だ……」
「おいこらてめぇ。ブツクサ言ってばかりだと、本気でお仕置きしちまうぞ?」
「あのさ、その『お仕置き』ってのはどっからでてきたんだ?」
「響きがいいじゃねぇか」
こいつバカだ。マジでバカだ……。
オレはわざと大きくため息をついて首を横に振り、呆れたということをわかり易く示した。
「なーんか、マジでお仕置きしなきゃなんねぇみたいだな?」
「はっ。できるものならすればいい。意味もなくその言葉を口にする奴に、それがちゃんとできるものならな」
「言うじゃねぇか。覚悟しやがれ」
孔乃は手にしていたノートを放り投げると、オレをその場に押し倒し、性急なキスをしてきた。
こいつにこんな風にけしかけたりするオレも、相当バカなのかもしれないな……。
オレは心の中で苦笑をもらすと、孔乃に与えられる愛撫からくる快感に身を委ねていった。
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