SS

お試し期間



 それは、そんなに仲が良いわけじゃなかった奴の、わけの分からない発言から始まった。


「僕は君に恋をしたみたい」
「…………それで?」
「僕と、付き合ってくれるかな?」
「………………」
「どうだろう?」
「……いやさ、それって、ありえないだろ?」
「ありえなくはないよ」
「……俺は、女じゃないぞ?」
「ああ」
「……俺は、れっきとした男だぞ?」
「そうだよ。君は可愛くて格好いい男の子」
「……アホか?」
「ふふふ。そうなのかもしれないね」
「そうかもって……、お前なあ……」
「返事はくれないのかな?」
「いや、だから…その……」
「僕のこと、嫌いかな?」
「嫌い…ではないけどよ……」
「それなら、試しに僕と二週間付き合ってみてくれないかな?」
「はい?」
「僕のことが嫌いではないのなら、二週間僕と付き合ってみて、それから答えをくれたら嬉しいな」
「で、でも……」
「必ずしも二週間ではなくてはいけないと言うわけじゃないんだ。その二週間の間に君が僕を少しでも嫌いだと感じたなら、僕はそこで諦める」
「ほ、本気か……?」
「ああ、もちろん」
「……もし、二週間で答えが出なかったら?」
「心配しないで。二週間の間に、僕のことを好きにさせてみせるから」
「(その自信は一体どこからくるんだよ……?)」
「どうかな?」
「…………分かった。試しに付き合ってやる」
「よかった、ありがとう」
「た、ただし!嫌いになったら即別れるからな!」
「分かっているよ。ありがとう」
 俺はこうして、突然告白してきたこいつと二週間試しに付き合うことになったのだった。



【END】